ツレない彼の愛し方【番外編追加】
「ごめんなさい、私、迷惑はかけないので…大丈夫ですから、ひとりで…」
「はぁ?何が大丈夫な訳?隆之介は知らないんでしょ?知らせないまま産めば大丈夫だなんて身勝手なこと言わないで。その子が成長した時、きっと父親を捜すわ。自分が産まれたルーツを知りたくなるはずよ。あなたが隠していたって手段を見つけて探すわ。その時に初めて隆之介さんは自分に子どもがいることを知るのよ。それまで何も知らされてなく。そんな恐ろしいことをよくも考えてるわね」
ハッとした。早瀬の気持ちをまったく無視した自分の考えに自己嫌悪する。
「・・・・・ごめんなさい、私、そこまで・・・・ごめんなさい、ごめんなさい」
「謝って済むことじゃないでしょ?隆之介の子なんて、絶対に産ませない。絶対に…」
そう言って綾乃さんが私に飛びかかって来た。
修二さんが私をかばうように抱きかかえる。
「綾乃、やめろ!何してるんだ!!!!!」
「だって!なんでこの人なのよ、隆之介も修ちゃんもどうして進藤さんばかりかばうのよ!!!!!!!!!」
修二さんがかばいきれず、私の髪の毛を掴んだ綾乃さんが思い切り私の髪の毛を引っ張った。ああ・・・そっか、バチが当たったんだ。早瀬に内緒で産もうなんて、やっぱりムリだったんだ。
「綾乃!綾乃やめろ!やめるんだ!」
「なにしてるの?やめなさい!」
騒ぎに気が付いた和泉さんが扉から飛び出して来た。
修二さんに変わって和泉さんは私を抱きかかえる。
修二さんは興奮した綾乃さんを私から引きはがし、背中から綾乃さんを抱え込んで身動きが取れないようにしていた。
「和泉さん、響ちゃんをお願いします。とりあえず今日は綾乃を連れて帰ります」
離して!帰らない!と騒ぎながらも男の人の力には勝てず、結局、引きずられるように綾乃さんは帰って行った。
「響ちゃん?響ちゃん…響ちゃん…」
和泉さんの声が遠くなる。
「ごめんなさい、隆之介さん…ごめんなさい、ごめんね、赤ちゃん」