ツレない彼の愛し方【番外編追加】
午前中の本社で会議が終わった。
そのままホテルに向えばいいが、もし病院から連絡があればすぐに行ける。
時間は取れるだろう。
そう思ってた矢先に、電話が鳴った。
「もしもし、斉藤です。和泉です」
久しぶりに聞いた和泉さんの声。
隆之介さんのお姉さんからだ。
「どうしました?」
「進藤さんが来たら、修二くんに連絡をしてってパパに言われたから」
「はい、じゃ、響ちゃんが来たんですね」
安堵が胸に広がる。まだどこにも消えてない。
「それが...」
和泉さんの言葉にまた不安が蘇る。
「少し情緒不安定で...さっき待合室で号泣しちゃったから、私のところで預かってる」
「そうでしたか...」
「修二くん、進藤さんの何か知ってるの?事情がありそうだけど」
「.....」
「パパから少し聞いてるから」
「そうですか。でも僕の口からは言えません」
「そうよね...じゃ、1つだけ質問させて...進藤さんの妊娠は隆(りゅう)ちゃんが関係しているのよね?」
「.......」
「じゃ、言い方を変える。修二くんが父親ではないってことでいい?」
「...はい。それは確かです。ですが...もし何かの事情で彼女がひとりで産むことになったら、僕が全力で支えます」
「父親になるってこと?」
「その覚悟があるってことです」
嘘ではない。響ちゃんが1人で苦しむくらいなら手を差し伸べる覚悟は出来ていた。
なのに和泉さんは容赦なく言葉を突きつける。