ツレない彼の愛し方【番外編追加】

結局、早瀬の話題はあれきりになってしまい、和泉さんも父親の話題には触れずにいた。綾乃さんを連れ出した修二さんが翌日訪ねに来てくれた。


「響ちゃん、ごめんね。綾乃がひどいことして…」


「いえ…」


「あいつも…傷ついているんだ。僕のせいでね…」


部屋の窓から遠くをみつめながら、修二さんが今誰を思っているかわかっていた気がする。
修二さんとはそれ以来、逢わなくなった。



ある日の午後、和泉さんに一緒に出掛けて欲しいと言われるがまま付いて来たのは大きな屋敷。



「和泉さん、ここは?」



「私の実家よ」



「えっ?」


大きな木の門の前でリモコンを操作しながら和泉さんは微笑む。
すぐに門は自動で開き、車のままその敷地に進んで行った。

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