ツレない彼の愛し方【番外編追加】
06
響がいなくなって1週間が過ぎた。
弟の亮介とは連絡を取っているようだが、俺の電話には一切出ない。
永野も響の行方は聞いてないという…
いったいどこへ
現在、抱えている案件も新しく依頼された案件も進めなくてはならず、プライベートなことだけに時間を裂けられず、うまく時間が取れていない。
いや、そんなのは言い訳だった。
綾乃の問題がこじれて、何もかも裏目に出てしまっている。
それが響を迎えに行けない大きな原因。
そんなある日、事務所に珍しい客がやって来た。
「どうも~!」
陽気な声で挨拶をしながら入って来た甘いマスクの男。
存在するだけで華やかになる。
「にいさん!?」
事務所には顔なんて出したことのない兄が突然訪ねて来た。
「尚さん、どうしたんですか!? 」
「あ、永野?元気だったー?」
兄は永野とも学生時代から交流がある。
良く永野を引き連れて、呑みに行ってたっけ。
「ご無沙汰しています。」
「ホントだよ、お前、たまには顔出せよ。」
と、永野さんの胸をつんつんと突っつく。
「なお兄さん!」
「おっ、うちの可愛い末っ子坊主じゃないか。元気にやってる?」
と、省吾の頭をくしゃくしゃとかき乱す。
省吾は自分の母親と兄の父親の間に産まれた年の離れた弟。
「朽木くんの…社長のお兄さん!?」
近藤がこのやりとりを見てきょとんとしていた。
「あ、うちの一番上の兄です。」
「どうもー、申し遅れました。朽木家の長男でーす。」
「なんか軽いというか、チャラいですね。」
近藤が直球な感想を口にした。
「一応、朽木建設の部長していまーす。」
「なおさん、今日はどうしたんですか?」
軽すぎる挨拶をスルーして永野が本題に戻す。
「あっ!そうだった!!!どうしたもこうしたも、うちのアホで意地っ張りでどうしようもない次男に逢いに来たんだよ!」