願いは叶う
「お母さん、すごい熱があるわ」


「小夜子……、本当に大丈夫なのよ。

私は、体調なんて、少しも悪くないの」


「嘘よ、お母さん。

そんなわけないわ!」


「本当よ……。

心配なんていらないわ。

それよりも、早く仕事の続きをしないと……」


「お母さん!

もう、いい加減にして。

仕事なんてどうでもいいから、早く布団で寝なくちゃ」


「でも……、月末には、支払いが……」


「お母さん!」


私は母の顔を覗き込み、訴えるように言った。


「残りの仕事は私がやるわ。

だから、お願い。

お母さんには、ゆっくり休んでいてもらいたいの」
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