願いは叶う
私がスミレスーパーに着くと、母は休憩室のソファーで寝かされていた。


相変わらず母の顔は赤く、一目で母の熱が引いていないことが私にもわかった。


あれほどゆっくり休んでてねと、私は母に言ったのに、母は無理をしてしまって今ここにいる。


私は母の気持ちがわかりかねて、母にかける言葉も見つけられずに、ソファーで寝ている母を見つめた。


「ひどい風邪だね。

高熱が出てる。

早く帰って、病院に連れていった方がいい」


私に電話をかけてきた川島という四十代くらいの痩せ型の男が、私に言った。


「わかりました。

迷惑をかけてしまって、すみません」


「ああ、迷惑だと思ったら、サッサと絹子さんを連れて帰りなさい」
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