願いは叶う
「百合子ちゃんどうしたの?

何かあったの?」


佐々木優子は百合子の前に立ち、百合子に話しかけたが、百合子は佐々木優子と目を合わせなかった。


「百合子ちゃん、どうしたの?

百合子ちゃん、いったい何に怯えているの?」


佐々木優子は百合子の肩を激しく揺すり、真剣に話しかけた。


「せ、先生……」


百合子は声を震わせながら、佐々木優子を見上げた。


「どうしたの?

百合子ちゃん」


百合子はそう言われて、右手の人差し指をベランダに向けた。


「あ、あそこに……、知らない女の人が……、立っている。

果物ナイフを握りしめて」
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