願いは叶う
佐々木優子は、真っ青な顔で怯えている百合子が指差した先に目を向けた。


そして佐々木優子は、窓越しにベランダを見たあとに百合子と向き合って、百合子に言った。


「百合子ちゃん、何言ってるの?

ベランダには誰もいないわ」


百合子は佐々木優子の意外な言葉に驚き、彼女の顔を見上げた。


「先生、何を言ってるの?

もうあの女の人……、顔中に包帯を巻いた女の人が、教室の入り口に立って、ベランダから教室に入ろうとしている!」


佐々木優子は百合子にそう言われ、もう一度、ベランダの方に目をやった。


でも佐々木優子は、ベランダに女の人を見つけることはできなかった。


「百合子ちゃん、やっぱり誰もいないわ。

百合子ちゃんの気のせいじゃないかしら?」
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