願いは叶う
百合子は、顔中に包帯を巻いた女の冷たい視線が恐ろしくて、佐々木優子の腕にしがみついた。


「ほら先生、あそこを見て!

顔中に包帯を巻いた女の人が、私を見ている!」


百合子はそう言って、女が立っている教室の隅を指差した。


佐々木優子は怯える百合子の指差す場所を見てみたが、佐々木優子は、そこに人影を見つけることはできなかった。


「百合子ちゃん、何を言ってるの?

そこには誰もいないわ」


百合子は佐々木優子の言葉に失望して、声を張り上げた。


「どうして?

どうしてわからないの?

あそこにいるのに!

白いレインコートを着た顔中に包帯を巻いた女の人が……」
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