願いは叶う
百合子はそう言ったあとに、教室を見渡した。


クラスのみんなに助けを求めるために。


でも百合子は、次の瞬間、再び深い失望感を味わった。


クラスのみんなが百合子を不思議そうな顔で見つめ、顔中に包帯を巻いている女の人に気づいている人は、誰もいなかった。


〈 どうして? 〉


百合子は、不安な気持ちを抑えきれなかった。


〈 どうしてみんな、あの女の人に気づかないの?

さっきからずっと、教室の隅に立っているのに…… 〉
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