願いは叶う
『私の顔は……、醜い……』


おぞましい顔をした女は、もう一度、同じ言葉を繰り返した。


百合子は悪霊から逃げる隙をうかがいなから、少しずつ後ずさりした。


『私の顔は……、醜い……』


おぞましい顔の女はそう言って、右手に持った果物ナイフを百合子の方へ突き出した。


「や、やめて……」


百合子は、つぶやくような声でそう言った。


「どうして私なの?

あなたは、どうして私につきまとうの?」
< 188 / 636 >

この作品をシェア

pagetop