願いは叶う
「私の中学生時代のもう一人の憧れの人は、山村武士よ」
私がそう言うと、私と武士の目線が合った。
「武士さんは、私の憧れの人だったの。
だから私は……」
私は一拍間を置いて、その言葉を言った。
「あなたのことを、ずっと見ていた……」
私はそう言うと、すっと立ち上がり、テーブルの上にある食器を片付け始めた。
私は、山村武士をずっと見ていた。
話しかけることもできずに、遠くから……。
〈 お母さん、どうしてシンデレラは、素敵な王子さまと結婚して幸せになれたの? 〉
私が母に尋ねると、母は私に言った。
〈 シンデレラは、心から願ったんじゃないかしら?
シンデレラは、…… 〉
私は汚れた皿を洗いながら、昔のことを思い出していた。