願いは叶う
白衣を身にまとった女が、不気味な笑みを浮かべながら、絹子に近づいてきた。


一歩……、また一歩……。


青白い両腕をゆっくりと上げて、指の長い血色の悪い手がそっと絹子の方へ伸びてくる。


絹子の体が恐ろしさで、ガタガタと震えた。


そして、彼女の両手がそっと絹子の肩に触れたとき、絹子は悲鳴を上げて振り返った。


〈 えっ……、どうして? 〉


絹子は、自分の目で見た現実を信じられなかった。


〈 鏡に映っていた女がいない…… 〉
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