願いは叶う
絹子は走りながら、夜空に輝く星を見た。


そして輝く星を見つめながら、あの日の夏祭りのことを思った。


もしも自分があの頃に戻って、もう一度人生をやり直せるのならば、自分は幸せになることができるかしら?


絹子はヨタヨタとよろけながら、屋上の端まで走りきり、息をきらしながら、両手で屋上の手すりを握りしめた。


地上から屋上までの距離は、30メートル以上。


ここから落ちれば、助かるはずはない。


絹子は手すりにしがみつき、恐る恐る地上を見つめた。
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