願いは叶う
「小夜子……、あなたが行かなくても……」


「どうして?

お母さん」


「だって小夜子は……、お父さんに会いたくないでしょ?」


母の言葉に、私の心は揺れた。


「そんなことないわ。

私、生活していくためなら、こだわりなんて持たないから……」


私は満面の笑みを浮かべ、母に言った。


「お母さん、今年の大晦日は、二人で温かいお蕎麦を食べて、のんびりと年を越そうね」
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