願いは叶う
私は、部屋のチャイムを鳴らした後、自分の心臓がドキドキと、大きな音を立てるのを感じていた。


私は、父とは何年も会ってはおらず、電話で話したことすらなかった。


〈 私が最後に父と会ったのは、小学二年生のとき……。

父は、中学三年生になった私のことをすぐにわかるだろうか? 〉


何も期待していなかったはずなのに、ほんの少しだけ父に期待している自分に気づいて、私は、自分自身に戸惑った。


私は、毎日毎日、父を憎んでいたから……。


玄関の向こう側から足音が聞こえ、どぎまぎしている私の目の前で、玄関のドアがゆっくりと開いていった。
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