願いは叶う
「あんたがあの人の娘さん?

ああ、私もあの人から聞いてたわ。

自分には、中学生の娘がいるって」


水島亜希子はそう言って、私の顔をしげしげと見た。


私はその様子を見て、この人は、私の顔から父の面影を探しているのだろうかと思った。


だとしたら、私はこの女に顔を見られるのが不快だった。


だって私は、寺田幸治の娘ではあるけれども、あの人のようになりたくはないから……。


「ところで、あの人の娘さんが、あの人に何の用事があるの?」


「それは……」


私がそう言ったとき、ドカドカという足音が部屋の中から聞こえてきて、私は玄関に誰かが来ることを知った。


私は水島亜希子と話すのを止め、その人が来るのを待った。
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