願いは叶う
「お母さんが何度も体調を崩して、お母さんは、仕事をすることもままならなくて、それで……」


私はそこまで言うと、言葉に詰まった。


〈 私がしなければならないこと……。

父に、私たちの現状を知ってもらうこと。

父からお金をもらうこと 〉


私は決意を固めて、父の顔を見つめた。


「私たち、お金がなくて、家賃すら払えなくて、だからと言って、お母さんは無理をして働くことができなくて……。

私はもう少しで中学を卒業だから、そうしたら定時制高校に通いながら働こうって思ってる。

でも、今は私も働けないから……。

中学生を雇ってくれるところなんて、どこにもないから……」


私はそこまで言うと、泣きそうになっていた。


でも私は、この人の前では決して泣きたくなかった。
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