願いは叶う
「だから……、私……、お金が欲しいの。

できるだけ、たくさん……」


私は、話ながら言葉の節々に自分の強い感情が込もってしまったのを感じた。


別に私は、この人に同情して欲しいわけではなかった。


私が欲しいのは、この人が持っているお金だけだ。


父は、私の精一杯の話を表情も変えずに聞いていた。


「いくら欲しい?」


父がまた、ぶっきらぼうにそう言った。


「私たちが、生活に困らないくらい。

できるだけ……、たくさん……」


父は、そう言った私の顔を覗き込んだ。
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