願いは叶う
ある日、私に魔法がかかって、私が今の私ではない寺田小夜子になったとしたら……。


山村武士と二人で並んで歩いてみても、何の違和感も感じないくらいの女性に、私がなれたとしたら……。


私はときどき、そんなことを考えることがあった。


私は、机の上に鏡を置いて、じっと鏡に映る自分の顔を見つめた。


私は決して、不美人ではない。


でも私には、桜井由美のように人目を引くような魅力はなかった。


私は鏡に映る自分の顔を見つめ、いつの日かもっと美しい女性になりたいと願った。


私が、あの山村武士の隣りに立ってもおかしくないように……。
< 405 / 636 >

この作品をシェア

pagetop