願いは叶う
私は、桜井由美の不幸せを願った。


彼女が病気になればいいのに……。


彼女がケガをすればいいのに……。


彼女が挫折を味わえばいいのに……。


私は、そんな後ろ向きな願いを胸に秘め、桜井由美を見ていた。


桜井由美が不幸せになったとしても、私が幸せになれるわけではないことくらい、もちろん私もわかっていた。


でも私は、神様に桜井由美の不幸せを願わずにはいられなかった。


もしも本当に神様がいるとして、私たちをいつも見ていてくれるのならば、この不公平な仕打ちは、あまりにも酷すぎる。


どうして神様は、桜井由美を愛して、寺田小夜子は愛してくれないのだろう?


私は、他の誰よりも幸せを求めているのに……。
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