願いは叶う
初めの頃は、武士に気づかれないように、私はお酒を飲んでいた。


朝から飲むお酒は、まるで精神安定剤のように、私を落ちつかせてくれた。


私のせいでおかしくなってしまった百合子を、まともな意識の中で見ているのが、私には苦痛だった。


百合子は、本当だったなら、明るくて、優秀な女の子のままで、小学校に通っているはずだった。


百合子には、素晴らしい未来が待っているはずだった。


それなのに……。


私はそんなことを思うと、シラフではいられなかった。


私の追い詰められた心には、逃げ道が必要だった。
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