願いは叶う
「すみません。

あのう、これ落とされましたよね?」


山村武士が私の顔を見つめ、手にしたバッグを胸の高さまで上げた。


私はずっと思い続けていた山村武士の声を間近で聞いて、体中がゾクゾクして息が詰まった。


私は、自分が思い描いていたシナリオ通りの演技ができるのだろうか?


私は上目づかいで、微笑みながら、山村武士の顔を見つめた。
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