願いは叶う
「寺田さん、見違えたね。

僕はすぐに寺田さんだとはわからなかった」


山村武士が微笑みながら、私にそう言った。


私は、山村武士のその言葉がうれしくて、自然に笑みがこぼれた。


私は山村武士のその言葉を何年間、待ち続けただろう。


毎日、鏡を見つめながら、私に魔法がかかるその日を夢見ながら。


「武士さん、そう言ってくれてありがとう。

私、ここで偶然に武士さんと会えるなんて、思ってもみなかったわ」


「それは僕も同じだよ。

こんな偶然があるなんてね」
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