願いは叶う
武士から送られてきたメールを読み終えると、携帯電話を持っている私の手が震えた。


そして私の頬を一筋の涙が伝っていき、私の左手の上にポトリと落ちた。


涙が溢れて視界ぼやけてしまった私の目に、『もう一度、一からやり直そう』という文字が映って、私は自分の心に湧き上がってくる感情を抑えることができなかった。


私が今いるリビングに、まだ武士と百合子がいた頃の映像が、私の頭の中に浮かんできた。


いつも笑っていた私。


いつも幸せだった私。


もしかしたら、本当に私は、あの頃の私に戻れるかもしれない……。
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