願いは叶う
私は目を閉じて、自分がまだ父と母と一緒に過ごしていた幼い頃を思い返した。


いつも後ろ向きな考えしか持たない父が、酒に酔って母を殴って……。


殴られた母が、何も抵抗することもできずに下を向いて泣いていて……。


私はそんな二人を見て、早く大人になりたいと心の中で思っていた。


私はこの人たちのように、不幸せにはなりたくない。


私は、いつか自立した大人になって、自分の未来を自分で切り開く。


私は、この人たちの子供だけれど、この人たちに頼ってはいけない。


だって私が、この人たちに頼っていたら、私の未来は永遠に閉ざされてしまうから……。
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