願いは叶う
私は帰りの車の中で、中学生時代のことを思い出していた。


放課後に行われていた進路相談で、私の順番が回ってきて、私は担任の先生が待っている教室に入っていき、先生と向かい合った。


「寺田は定時制高校に進学したいみたいだけど、その気持ちは、今も変わりないのかい?」


「はい、今も、私の志望進路は変わりません」


「でも、寺田。

お前の成績なら、定時制を選ばなくても、入れる高校はあるんだぞ」


「先生、それはわかっているんですけども……」


「だったら、どうして?」


「私、働きたいんです。

できるだけたくさん」


「寺田は、なぜそんなに仕事がしたいの?」


「仕事をすれば、お金が貰えるから……。

私、少しでも多くお金を稼ぎたいんです」
< 52 / 636 >

この作品をシェア

pagetop