願いは叶う
私の目の前に、頼りなく垂れている一本の蜘蛛の糸。


その頼りない糸は、私が苦しさからお酒に逃げたとき、ぷつりと音を立てて切れてしまうはずだった。


私は精神的に追い詰められていたが、お酒だけは避けていた。


武士との約束だけが、私の最後の望みだった。


武士にもう一度、愛想をつかされたなら、私にはもう何もなかった。


家族も、生活基盤も、夢も、希望も……。
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