願いは叶う
私は、悪霊たちの視線に気が狂いそうになりながら、私がこんなに苦しい思いをしてまで、この家に残る理由を考えた。


なぜ私は、罪を犯してまでも、人に憎まれても、幸せになりたかったのか?


私は、まともではない精神状態で目をつぶると、私の頭の中にあの小さな古いアパートにいる母と幼い私の姿が浮かんだ。


幼い私は、母の顔を覗き込み、母に話しかけていた。


「お母さん、うちは貧乏なの?

お母さん、どうして私たちは、他の人たちと同じように暮らしていけないの?

私が大人になったら、私は自分たちの家を買ってそこに住みたい。

つらいことや苦しいことがあっても、私は必死になって働いて……」


幼い私がそこまで話すと、それを聞いていた母が、両手で顔を覆って、むせび泣いた。


幼い私は、母のそんな様子を見て、母のような悲しい生き方をしてはいけないと思っていた。
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