願いは叶う
中学生時代、私は三年間、新聞配達のバイトをしていた。


バイトの理由は、少ない母の稼ぎを少しでも補うため。


私は、同級生の誰よりもたくさん働いていたが、それでもいじわるな貧乏神は、私たちに寄り添い、離れようとはしなかった。


その理由は、体の弱い母にできる仕事が、パートと内職しかなかったからだ。


新聞配達をしていて最悪なのが、雨の降る冬の日。


カッパを着て、寒さに体を震わせながら、私は自転車をこいでいく。


つらい思いをしながら考えていることは、もしもお金があったなら……。


同級生たちはこの時間、暖かい布団の中で、まだ眠っているはずだった。
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