願いは叶う
彼女は大きな家に住み、家には両親がいて、お金の心配もすることなく塾やお稽古に通っていた。


彼女と私は、まるで光と影のよう。


彼女は将来、素敵な人に愛され、幸せになるのだろうが、私は長く暗いトンネルのような今の生活から、いつ抜け出せるかもわからない。


桜井由美が校舎の階段を昇ってきて、私たちは挨拶を交わしてすれ違った。


私は、通り過ぎていった桜井由美の後ろ姿を見つめながら、彼女に激しく嫉妬していた。


年齢も変わらない。


体つきも違わない。


なのに、どうして私たちはこんなにも違うのだろう。
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