願いは叶う
部屋の窓が、強い風のせいで何度も揺れた。


カタカタ
カタカタと。


百合子は、聞こえてくる風の音と窓が揺れる音が不気味に思えて、その音が聞こえないようにテレビのボリュームを大きくした。


早く武士が帰ってきてくれることを願いながら。


カタカタ
カタカタ。


窓ガラスは、何度も何度も不気味な音を出した。


〈 嫌だわ。

こんなんじゃ、怖くて眠れない 〉


百合子がそう思って、両手で耳を塞いだとき、部屋のテレビが、バチリと消えた。


百合子は、部屋の中で起きた異変に思わず小さな悲鳴を上げた。
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