願いは叶う
〈 停電かしら? 〉


百合子は、照明が消えてしまった理由を考えて、自分を落ち着かせようとした。


でも百合子は、照明が消えてしまった理由が停電ではないことに、すぐに気づいてしまった。


〈 停電なんかじゃないわ。

だって、テレビと照明は、別々に消えたもの 〉


百合子の体は、カタカタと震えて、止まらなかった。


自分はどうすればいいのだろうと、百合子は必死に考えた。


もうこのアパートに、父はいない。


今、自分の身に不吉な何かが起きてしまったならば、自分を救ってくれる人は誰もいない。


だったら自分は、いったいこれから、どうするべきなのか?


百合子がそう思ったとき、再び強い風が吹いて、窓ガラスがカタカタと音をたてて揺れた。
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