願いは叶う
〈 逃げなくちゃ 〉


百合子は、カタカタと体を震わせながら思った。


〈 早く逃げなくちゃ、そうしなければ、私はきっと殺される…… 〉


百合子はそう思い、立ち上がって、部屋の外に出ようとしたが、震える百合子の足には、うまく力が入らなかった。


〈 助けて!

お父さん、お母さん…… 〉


百合子は、いつの間にか恐ろしさから泣き出していた。


〈 お願い来ないで。

そこからいなくなって! 〉


百合子は、心の中で必死にそう叫んだが、醜い顔の悪霊は、その醜い顔をずっと百合子に向けていた。
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