願いは叶う
部屋の中で響く不気味な笑い声に、別な笑い声が重なった。


〈 いったい何なの?

悪霊は一人じゃないの? 〉


百合子がそう思ったとき、二つの笑い声に、またもう一つの笑い声が重なった。


〈いったい何なの?

もう、止めて! 〉


百合子は両手で耳を塞ぎ、固く目を閉じた。


もしもこれが悪夢だったならば、早く醒めて欲しい。


自分の弱った心は、恐ろしいことには、もう耐えられそうにない。


〈 だから、早く…… 〉


百合子はそう思い、心から祈った。


〈 悪霊たちよ、いなくなって 〉
< 560 / 636 >

この作品をシェア

pagetop