願いは叶う
百合子は、悪霊たちに顔を向けたまま、ゆっくりと後ずさりをした。


百合子は、恐怖に怯えながらも、自分が生き残るための行動を頭の中で、必死に考えていた。


〈 最初に私は、この部屋を出よう。

部屋を出たら、廊下はいつも電気をつけっぱなしだから、明るいはずだわ。

私は廊下を一気に走り抜けて、外に出よう。

そうすればきっと、私以外の誰かが、私を見つけてくれるはずだから……〉


百合子は、悪霊たちに気づかれないように、ゆっくりとドアの方へと後ずさった。


早くこの部屋から、出ていくために。


悪霊たちから、逃れるために。


百合子は、ドキドキと大きな音で心臓が鳴るのを感じながら、そっとドアノブに手をかけた。
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