願いは叶う
〈 どこに行くつもりなの? 〉


〈 逃がさない! 〉


〈 殺してやる! 〉


悪霊たちの圧倒的な悪意に、百合子は怯えながら、ドアノブをひねり、廊下へと飛び出した。


〈 早く逃げなくちゃ。

少しでも遠くに、私は逃げて行かなくちゃ 〉


そう思って百合子が走り出そうとしたそのときに、廊下の明かりが突然、消えた。


一瞬で暗闇に包まれた百合子の心音は、さらに大きくなり、百合子はもう、冷静ではいられなかった。


〈 どうして?

どうしてまた、明かりが消えてしまったの? 〉


そう思った百合子の背後から、また不気味な笑い声が、重なりあって聞こえてきた。
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