願いは叶う
私はテレビがどうしてもつかないので、停電なのかと思い、立ち上がって冷蔵庫を開けてみると、冷蔵庫には電気が来ている。


停電でもないのに急にテレビが消え、つかなくなってしまった理由が、私にはわからなかった。


テレビが消え、しんと静まり返った部屋には、激しく窓を叩く雨音だけが聞こえてくる。


学校まで百合子を迎えに行くべきなのだろうかと私は迷ったが、私が学校に行ってみても、百合子が学校にいるとは限らない。


私は落ち着かず、とりあえずコップ一杯の水を飲もうと、コップを手に取り水道の蛇口をひねった。


そして私は、その水を飲む前に水道水の異変に気づいて、思わず手にしたコップを落としてしまった。


流し台に転がったコップからは、透明な水道水ではなく、真っ赤な得体の知れない液体がドロッとこぼれた。


それは、水道水に錆びが混ざった赤ではなく、水道水に土が混じった濁りでもなかった。


その真っ赤な液体は、まるで人の体から流れ落ちたばかりの赤い血のようであった。
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