願いは叶う
真っ赤に染まった流し台を見て、私の心臓は早鐘を打ち始めた。


これは、水道管に異常があったための現象ではない。


誰かのイタズラなはずもない。


だったら、どうして水道からこんな赤い液体が……。


私が真っ赤に染まった流し台を茫然と見つめ震えていると、背後から微かに女の薄気味悪い声が聞えてきた。


〈 あなたさえいなければ…… 〉


その女の薄気味悪い声は、まるでさっきまで見ていたサスペンスドラマのセリフの続きのようでもあった。


私はまさかと思って振り返り、慌ててテレビのある方を見てみたが、テレビはいまだについてはいない。


空耳だったのかしらと私が思ったとき、もう一度、部屋の中であの女の薄気味悪い声が聞こえた。


〈 あなたさえいなければ…… 〉
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