願いは叶う
私の体は、まるでゾウのような強い力で、リビングの中央の方へとひきづられていった。


私は悲鳴を上げながらその強い力に抵抗したが、私の目一杯の抵抗も、悪霊の力の前では無意味だった。


私の体はゆっくりと、それでも確実に一定の方向へとひきづられていく。


そして私が、自分のひきづられていく方向に目をやると、テレビの画面に映し出されている野沢恵子の生首が見えた。


その生首は頭と口から血を流し、目はまばたきひとつせずに血走り、顔色は青白く、生気がなかった。


薄気味悪い野沢恵子の生首と再び目が合ってしまったとき、野沢恵子のは生首は、うれしそうにニヤリと笑った。


〈 助けて! 〉


私の心は、声にならない悲鳴を上げた。
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