願いは叶う
私は、私の足首を掴んでいる手を払いのけようと、自由の利くもう片方の足で、何度も何度も蹴飛ばした。


でも、私の足首を掴んでいる手は、まるで万力のような強い力で、私の足首を離そうとはしなかった。


〈 助けて！ 〉


私は、泣きながら祈るように思った。


〈 助けて！

お願いだから、誰か助けて！ 〉


何度蹴飛ばしても、何度払いのけようと思っても、私の足首を掴んだ手は私から離れようとしない。


そして、悪魔の手から逃げる術を持たない私の体は、あの悪霊がいるテレビの近くの方へとひきづられていった。


テレビ画面の野沢恵子がニヤリと笑い、部屋の中に微かな笑い声が響いた。


その笑い声は、低く、サディスティックで、私の不幸せを期待していた。


雷鳴が轟き、稲光が部屋の中を明るくしたそのとき、私は予想しなかった事態に悲鳴を上げた。


野沢恵子の生首が映るそのテレビ画面から、ゆっくりと切断された血まみれの左腕が出て来て、テレビの画面からリビングの床へボトリと落ちた。
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