願いは叶う
床にボトリと落ちた切断された左腕は、まるで生き物のように床を這いずり、指を動かした。


そしてその切断された左腕は、ゆっくりと確かな意志を持って、私の方へと進んできた。


まるで獲物を見つけた蛇のように。


〈 もしもこれが、十三年前の事件の復讐だったなら…… 〉


私は、這いずり回る左腕を見つめながら思った。


〈 私は、どんな目に遭わされるのだろう? 〉


部屋中に、野沢恵子のかん高い笑い声が響いた。


そのかん高い笑い声は、無力で抵抗する力のない私を馬鹿にしているかのようで、私の不幸せを心から楽しんでいた。


〈 あなたさえいなければ…… 〉


十三年前、私は野沢恵子に対して思っていた。


〈 私は今よりずっと幸せなのに…… 〉
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