願いは叶う
私の右手には、あの浄化の塩が握られていた。


もしかしたら、この浄化の塩が悪霊を消し去ったのかもしれない。


もしかしたら、私は死なずに済む……。


私は、握りしめた浄化の塩を足首にまとわりつく悪魔の右手に投げつけた。


浄化の塩がかかった切断された右腕は、時間とともにサラサラと砂のように消え去った。


体が自由になった私は上半身を起こし、無意識のうちにテレビの画面を見ていた。


テレビの画面には、笑うのを止め、うらめしそうに私のことを見ている野沢恵子の生首が映っていた。


彼女のまばたきひとつしない血走った目からは、悪意と殺意と憎悪が感じられ、思わず私は身をすくめた。


〈 野沢恵子の悪霊を消し去らねば…… 〉


私はふらふらと立ち上がって流し台の方へ向かい、右手で浄化の塩を握りしめた。
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