君がメガネを外す時・番外編~結衣ちゃんの恋~
流れ星
「結衣(ゆい)―」
後ろから思いっきり抱きつかれた。
この声はよく知っている。
「美織(みおり)、重い」
「重いとは失礼な」
「幸せ太りしてるんじゃないの」
美織は幼なじみ。
最近、同じく幼なじみの洸太(こうた)と付き合い始めた。
「えっへっへー。結衣は?告らないの?あげるっていったじゃん」
わたしは…美織の2つ年上の兄、悠兄のことが好きだ。
美織は洸太に恋をして、超の付くほどのブラコンを卒業したんだけど、わたしに悠兄を「くれる」んだそうで。
悠兄は美織の所有物みたいなものだったからなあ。
近づいてくる女の子たちへの妨害工作はすごかった。
ありがたく頂きたいところだけど、人の心はそう簡単にはいかない。
悠兄は、わたしのこと、妹くらいにしか思ってくれてないんじゃないかな。