君がメガネを外す時・番外編~結衣ちゃんの恋~
「先生が出席簿の件で職員室に来いって言ってたわよ」
「ああ、ありがとう」
「待って」
理香子先輩は悠兄を止めると、ワイシャツのボタンに手を伸ばした。
「外れてる」
「いいよ、自分で直すから」
「いいから」
ツキン…と胸が痛む。これは、嫉妬。
すごく嫌な感覚。
理香子先輩は美人だし、頭もいいし、なによりも積極的だ。
わたしなんかよりずっと魅力的だ。
どうして断ったんだろう。
悠兄、わたし達の知らない人の誰かを好きなのかな。
悠兄が出ていくと、理香子先輩がわたしたちのそばにやってきた。
そしておもむろに、
「結衣ちゃん、あなた悠人のことが好きなんでしょう」
とわたしを見下ろして言った。