君がメガネを外す時・番外編~結衣ちゃんの恋~
「なんだよ」と洸太が先輩を睨む。
「そんな怖い顔しないで。忠告しに来ただけだから」
「忠告、ですか」
「あなた、妹くらいにしか見られていないわよ」
胸をぎゅっと鷲掴みにされたような感じに陥る。
「あきらめるのね」
「理香子先輩だって、相手にされていないじゃないですか!」
と、美織が失礼極まりない言葉をぶつける。
「わたしは結衣ちゃんとは違う。ちゃんと自分の気持ちを伝えたもの」
大きな音を立てて立ち上がる美織を洸太が押さえる。
「お兄ちゃんは、絶対に先輩のことなんか好きにならない!結衣のほうが、ずっと、ずっと、いい子だもん!」
「美織、わかったからそれ以上口を開くな」
洸太が美織を羽交い絞めにする。
「……好きじゃありませんから」
「え?」
「悠兄のこと、好きなんかじゃありませんから!」
そう言うとわたしは部室を飛び出した。