君がメガネを外す時・番外編~結衣ちゃんの恋~
するとそこには悠兄が立っていて。
「肝心の出席簿持ってくの忘れちゃって……」
聞かれた。
好きじゃないって言ったの、聞かれた。
わたしはその場から走り去ろうとした。
「結衣!」
悠兄に手を掴まれる。
「……どうして泣くの」
「離して!」
わたしは悠兄の手を振りほどくと昇降口に向かった。
「結衣!」
悠兄の声が遠くから聞こえる。
もう、だめだ。
嫌われた。
気づかれた。
滅茶苦茶に走る。
10月の風は鼻の奥にツン、と冷たい。