8月の雪
ただひたすら泣きじゃくる美紗を、抱きしめることだけ。
俺は、この日初めて後悔した。
いやっ…もっと前からかもしれない。
抑えていた気持ちが、
俺の中から出て来て、止められない。
気付かないように…気付かないふりをした。
あの日、美紗の手を自分から離したことを、俺は悔やんだ。
何でもっと、強くなかったんだろうか?
どうして俺は、自分の為に、美紗の手を離したんだろう?
そんなことばっかり、頭を駆け回る。
俺は馬鹿だ。
「…律がいてくれるなら、向き合うよ…」
一ドキンッ
「…………あぁ…ずっと一緒にいるよ…」
美紗の言葉は、俺の心を溶かしてくれた。
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