8月の雪



ただひたすら泣きじゃくる美紗を、抱きしめることだけ。



俺は、この日初めて後悔した。




いやっ…もっと前からかもしれない。



抑えていた気持ちが、
俺の中から出て来て、止められない。



気付かないように…気付かないふりをした。




あの日、美紗の手を自分から離したことを、俺は悔やんだ。




何でもっと、強くなかったんだろうか?


どうして俺は、自分の為に、美紗の手を離したんだろう?




そんなことばっかり、頭を駆け回る。








俺は馬鹿だ。








「…律がいてくれるなら、向き合うよ…」

















一ドキンッ

























「…………あぁ…ずっと一緒にいるよ…」

















美紗の言葉は、俺の心を溶かしてくれた。






< 104 / 111 >

この作品をシェア

pagetop