8月の雪
「…律…ありがとう」
涙の後を拭いながら、美紗はいつものように笑った。
こんな俺に、笑いかけてくれた。
「俺のほうこそ…ありがとう…」
「何で律がお礼言ってんのよ〜」
ポンッ、とあの頃のように俺の頭をこつく。
そんな美紗を見て、俺は微笑んだ。
またこんな日常が戻ってくる。
俺は、もう一度美紗を強く抱きしめた。
「…俺には、美紗が必要だ」
強く…強く…
俺は堅く誓った…
もう二度と、
俺の気持ちに答えてくれた美紗の手を、
離さない一…。
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