8月の雪


「じゃあ、ついに元サヤ復活か!!」

「「まあ…そういうことです」」


幸せそうに微笑む二人を見ながら、俺の顔も自然と緩んだ。


「何はともあれ、一見落着だな?」


とりあえず、棗と美紗の関係、親父さんのこと、は置いといて、俺は二人を祝福した。


よかった。
また、こうなる日が来て…。


「じゃあ、次は俺の番だな」

「「はっ!?」」


驚いたように、二人は目を丸くする。


「今日、俺は芙由に告ります」


全てを知った上で決めたこと、芙由を守りたい気持ち。

いろんな気持ちが交差する。


「…芙由は、あたしの一番の友達。
だから、傷つけたら承知しないわよ」

「分かってる…」


いつも親身になって、俺の話を聞いてくれた、美紗。


「今までみたいに、飽きたからポイッ、とかすんなよ」

「しねぇから」


自分のことより俺のことを気にかけてくれた、律。


この二人がいてくれたから、俺は逃げずに自分の気持ちと、向き合うことが出来たんだと思う。


いつかなんかじゃない。

今、伝えたい想いがある。






一…ありがとう。











初めて、伝えたいと思えたのは、君を好きになったから。




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